目的はただの感想文

ネタバレを意識せず、ネタバレしないことも意識せず、見たものの感想をそのまま。

【ネタバレ感想】風立ちぬ

まずは一言、こわかった。
とてもこわかった。簡単に危険が危険とも思われないむき出しの中で生きるあの世界がこわかった。
そしてそれが日本の過去なんだとおもうと、またそれもこわかった。

予備知識はほとんどないまま見てきた。
見た後にパンフレットを読んで、そこで知りたかったことは大体わかった。
この映画はもともとは宮崎駿さんの漫画が原作というのは知っていたけど、宮崎さんが作ろうと思いたったわけではないことと、宮崎さんが漫画映画が好きという想いで、ああいう風な、場面の想いをつづる映画になったんだろうなぁと感じた。 


二郎に対して

このロリコン!とツッコミたくなるけど、もともと日本人はロリコンなので割愛。
飛行機が昔から好きなのと、とてもよい家庭環境があったから、彼は飛行機を作れたんだろうな。
変な話だけど、夢って自分で思いつくものしか夢にできなくて、でも彼はある程度の裕福さと人に恵まれて「きれいな飛行機を作りたい」という夢を知って、それを目標にできたわけで、例えば途中にでてくる夜に親を通りでまっていた彼女たちは、そんな夢の存在すらしらないままなんだとおもうと、それもこわいと感じた一つの要因だったのかな。


飛行機に対して

二郎が映画の中でサバの骨を観察していたとこからも来ているのかもしれないけれど、出てくる飛行機がどれも魚みたいにみえた。
ユンカース社のあの大きい飛行機はシロナガスクジラみたいだったし、七試は金魚みたいだったし、他のもトビウオみたいだったり、メダカみたいだったり、熱帯魚みたいだったりに見えた。
映画の裏話的に、風立ちぬでは「きれいな飛行機」というのを絵で表すのをとても苦労していたという話を聞いていて、それで映画でどんな風に表現されるのか楽しみにしてたんだけど、空を飛ぶから鳥を連想させるかと思いきや、海を泳ぐ魚みたいなきれいさで、そこはちょっと感動した。


菜穂子と二郎に対して

初恋の人とまた会えたというのは、それだけでなんともいえないものだよね。
最後、仕事をやりおえた彼の元から離れる気持ちはとてもわかる、というか、古き良き日本の考えの一つといえばいいのか、うーん、むずかしいけど、あれは美化するべきではなくて、それはそれ以上でもそれ以下でもない、んじゃないかなぁと。なんていえばいいのかわかんないのだけど。
あの場面よりも、その前の実家にかけつけてくれたときの方が個人的にはうるうるくる。
最初から最後まで、二郎にとって菜穂子は失意の底から呼び戻してくれる風だったってことなんだろうね。
あと個人的に「結婚します」といって、結婚式をあげられる、あの家人と昔の日本が素敵だなぁと思った。


全体的に

見返したいけど見返したくないと思ってしまうことの1つに、声の効果音がきもちわるいというかこわいというのがあるんだけど、あれは好みによるのかな。
飛行機のエンジン音とか、地震のときとか、そこからうなるような声が背筋がぞくぞくするぐらいいやだったんだけど、あれはそれを狙っているのかなぁ。


自分は戦争モノが嫌いなので、極力そういった関連の作品は見ないようにしてる。
戦争のことは、もちろん授業で習ったこととかで一通り知っているけど、それを作品としてみたいとはやっぱりどうしても思えなくて、だから今回あんまりそこに触れない形で話ができていてよかったと思った。
でも今を生きる人の中には、周りに戦争を体験した人が誰もいなくて、誰からも戦争の話を聞いたことがない人もいて、そういう人から見ると、この映画はどんな風に見えるんだろうなぁと気になった。


前評判で「子供には難しい」という話は聞いていたけど、難しいというか、平成狸ぽんぽこみたいなものだと思う。あれ小っちゃいころ見てもほとんど意味わかってなかったし。
まぁこれまでのジブリのあきらかなファンタジーではないけど、「堀越二郎さんの半生を描いた」ということを念頭にいれて、彼のことをある程度わかっている状態で見ると、あれはそれなりにファンタジー的ではないのかなぁ。


気持ち的にもう何度か見たいけど、効果音だけこわいので、そこだけ飛ばして見られるようにDVDを待とうかな。