目的はただの感想文

ネタバレを意識せず、ネタバレしないことも意識せず、見たものの感想をそのまま。

【ネタバレ感想】THE LAST -NARUTO THE MOVIE-

いつものNARUTOを求めてみると相当違うものなので、そこらへんをふまえてこの映画はご覧ください、というのが注意書きでしょうか。


まどマギのかわいさに釣られてきゃぴきゃぴした魔法少女モノかと思ったら、残念!さやかちゃんだよ!となるようなアレです。ロボットアニメを期待してガンダムじゃなくてエヴァ見にいって、こんなのロボットアニメじゃない!というようなソレです。


とはいえ、これちゃんと事前に公式からだいぶそのへん告知されていたりCMでも結構言ってたので、少なくとも映画見るなら公式告知を見といてあげて…!というのがこちらからのフォローです。


今回のNARUTO映画は何がちがうのか

さて今回ずっとずっとずーーーっと告知されきた「愛の映画」でした。本当に愛でした。
たぶん今までNARUTOって少年漫画として、そんなに愛をプッシュするようなことってなかったんですよね。まぁ対象の読者が別に愛とかラブとかのストーリー求めてないだろうしね。それが今回なぜ愛の映画になったかというのは、キャラクターたちの成長が大きな鍵となっていたらしいです。


今回運良く初日舞台挨拶に行ってこれて、その際に岸本先生や小林監督もおっしゃってたのですが「今回のNARUTOは本当に今までのものと違うから、見た人はびっくりするかもしれないけれど、とにかくナルトたちが"大人になるところ"を出したかった」「そこに気をつけてつくった」というのがすべてでした。ここらへんの話は映画のパンフレットにも載ってるので映画見た人はぜひ読んでほしい。

ナルトとヒナタの関係の打破

物語のメイン軸はナルトとヒナタの関係性。ヒナタは元々ナルトに対して「自分にはないものをもつ人」としての憧れを持っていたのが、シーズン1の頃。
それがシーズン2に入って成長して憧れから愛に気持ちが育ち、そして告白して…漫画の方でそれをナルトも受けたように見えたんですが、受けてはいるもののそこでまだそれが「愛」ってものだということに気づいてなかったってのがそもそもの今回の映画の始まりなんです。
これすんごいわかりづらいんだけど、要するにナルトがアホってことなんです。サクラちゃんが劇中にも言ってますが鈍感なんですね。


漫画の方であれっだけ真正面から「大好き」とヒナタに言われてるくせして、そしてそれが自分自身の活力になってるっていうところはなんとなくわかってはいるもののそれの正体が何なのかはわかってないっていうアホなんです。映画の中ではナルトが19歳となりイケメン+国を救った英雄ということで人生初のモテ期を迎えているんですが、そのモテモテな状態もポカンとしているのは「モテる=好かれてる=ラブ」という図式がちっともわかってないからなんですよね。サクラちゃんが怒る気持ちはよくわかる。


そこにさらに問題に輪をかけているのがヒナタの引っ込み思案。奥ゆかしくてかわいいというのもあるんですけど、でもこのままだと鈍感×引っ込み思案という物事が進まない最悪の事態から脱出できないわけです。
一念発起してヒナタから告白しようと劇中で手編みのマフラーを持ってナルトに想いを再度伝えようとするシーンがあるんですが、たぶんあれで伝えてもちゃんと伝わらなかった気がするよ…
いや、最悪伝わったとしてもナルトがそれが「愛」だってことに気づかないで終わった気がするよ…


このどうしようもない遺憾ともしがたい状況を打破したのが、今回の映画で新キャラとしてでてきたトネリことかませ犬こと自爆仲人。この人がいたからナルトは「愛」というものに気づき成長できました。マジで…!!!
舞台挨拶があったのは自分が映画を見る前でネタバレはなかったんですが、トネリ役の福山さんが「もうトネリがさ…!」と言ってたのがよくわかりました…トネリ…切ない…。かませ犬感はんぱなくて切ない…。


このトネリがどういう生い立ちで何をするかは今回どうでもよくて、ナルトとヒナタの関係性の進行にどう関わってきたのかというのが見所です。トネリとナルトのバトルはおまけです。強いて言うならヒナタの奪い合いだと思ってください。
トネリとヒナタの1度目の接触でさらって行こうとしたら失敗し、2度目の接触で「結婚しよう」といいつつ妹のハナビを人質にとり、3度目の接触でナルトの前からヒナタをさらうっていう90年代初期のアニメを思わせる体当たりプロポーズ…!!!これすごい。うる星やつら大好きっことしては「ボーイミーツガール」を思い出させます。
「ボーイミーツガール」はうる星やつらの最終回の話で映画にもなっているんですが、あの話もあたるが成長するためになくてはならないものだったので、まさか今またこんな風に表現されるとは感慨深いです。



トネリは色んな勘違いやら思い込みでヒナタにぞっこんだったわけですが、ここまで愛をストレートに伝えられたことってヒナタにしたら初体験だったんじゃないでしょうか。
パンフレットの方で「ナルトとくっつけるのはヒナタにすると決めていた。なぜならヒナタはナルトが頑張っているところをずっと見てきたから」というのが岸本先生の言葉としてあるのですが、それで考えるとヒナタのがんばりを見てきたのはキバとシノとネジ兄さんなんじゃないのかなーって思うんですよね。だから本当はキバとか特にヒナタに対して想うところがあったんでないかな、いやあっただろ…!と考えつつも、でもヒナタのことを見てきたからこそヒナタがどれだけナルトを想っているのかもわかってたんだろうなって…おもうので…映画で一言でもいいのでしゃべらせてあげてほしかったな…ワンシーンしか出てこないって…さみしいわ…


ナルトとサクラの気持ちの別離

さて。今回ナルトとヒナタの関係性がメインではあるんですが、愛の話はそれだけじゃーないんですね。


今回すっごい個人的に印象的だったシーンが、ナルトとサクラの別離のシーンでした。
ナルトってずっと「サクラちゃん大好きー!」と言って言い続けて表現してきたんですよね。そしてそれを漫画のなかでサイにも指摘されているし、ナルトがサクラちゃんを大好きだったのは本当に間違いないんです。
そんなサクラちゃんは昔からサスケのことが大好き。でも一緒のチームのナルトのよさも段々とわかってくる。サスケは里を離れ、ナルトはそばにいて、でもそのナルトがサスケをつれてかえると約束してくれる。
サクラちゃんがサスケを大好きで愛してるのは本当で間違いないんだけど、でもサクラちゃんはナルトのことも大好きなんですよ、絶対。でもサスケが病みすぎててツンツンすぎてほっとけなくて、サスケに対して愛を貫くと決めた、のがこの状況なんじゃないかな、と。

この別離のシーンの状況を説明すると…
1.ナルトがヒナタへの愛に気づき告白
2.その数分後に目の前でトネリについてってしまったヒナタ
3.ヒナタに「さよならナルトくん」とふられる
4.とどめにトネリにボコボコにされ復活するもどうしようもないほど凹む
5.シカマルに活をいれられナルトを看病して倒れたサクラに報告
というかんじ。

その時にサクラちゃんがナルト言ったのは「あんたは昔から私のことを好きっていいつづけてきたけど、あれは私がサスケくんが好きだったからでしょう?対抗するためだったんだよね」「今度は本気なんだね」ってこと。

この台詞はもちろん台詞通りの意味もあるんだけど、でも決してナルトがサクラちゃんに対して恋愛的に本気じゃなかったかというとそういうこともなくて、やっぱりそこはサスケのことが大きかったんだろうなとすごく想うんですよね。
そしてそれをサクラちゃんもなんとなくわかってるからこそ、これが、ヒナタへの愛こそが本当の最初の愛だからってナルトに意識付けしてサクラちゃんに対する色んな想いをほどいてあげたんじゃないかなと。
サクラちゃんやっぱいい女だなー。師匠がいいからなー。

そんなサクラちゃんとサスケくんの愛の話が1mmも今回出てきてないのが納得いかない!愛の話なのに!2人がくっつく話も見たいよ!番外編もとむ!!!


感想まとめ

内容的に今風の映画じゃなくて、90年代のお話っぽいまとめ方だったのが個人的にはグッときました。なにせ15年ですもんね。90年代から始まってるんですもんね。
今のアニメでベタな台詞とかベタなリフレインってあんま見ないんだけど、それがまた拙いかんじでよかった…。


またところどころ700話でくっついてたキャラクターたちのフラグが入っていたのもおもしろい要素で、これは映画をじっと見ていて気づくと嬉しいです。


最後のスキマスイッチの歌もまたすんごい話にあっててよくて、そのエンドロールの後ろでナルトとヒナタの結婚式やってて、ネジ兄さんの写真に話かけてるところとか、イルカ先生が泣いてるところとか、カカシ先生が笑ってるところとか、本当によかった………!!


ここまであえてふれなかった六代目火影ことカカシ先生ですが。今回。活躍してるんだかしてないんだかわかりません。いえ、自分目線でいえば「それは!」とか「あれは!?」みたいな台詞だけでなくてもっといっぱいお話ししてほしかったなーなんておもわなくもないんですけど、最後においしいとことってってたしまぁいっか。みたいな。


見れば見るほどに今回の映画は細かい演出盛りだくさんなので、NARUTO読み直してからいくとまたぐぐっと楽しめます。また今回女の子たちがやたらみんなかわいいし美人さんなので超必見。


そしてサイの空気読めなささをぜひお楽しみください。